8月の終わりが近づくと、「シャンプーのときの抜け毛が急に増えた気がする」と感じる人が一気に増えます。実際、抜け毛に関する検索は毎年8月最終週から9月中旬にかけてピークを迎えます。
これは気のせいではなく、季節性のはっきりした現象です。この記事では、秋に抜け毛が増える仕組みと、いつまで続くのかの目安、そして受診を考えたほうがいい目安を整理します。

最近、排水口の毛がすごくて焦ってるんだけど……。

結論から言うと、9月から11月に抜け毛が増えるのは正常な季節変動よ。多い時期は少ない時期の1.5倍から2倍になると言われているの。
まず結論
- 抜け毛が増えるのは毛周期の季節変動が主な理由
- 夏の紫外線ダメージと頭皮環境も重なる
- ピークは9月。多くは自然に落ち着く
なぜ秋に抜け毛が増えるのか|3つの理由
秋の抜け毛にははっきりした理由があります。大きく3つに分けて整理します。
1. 毛周期そのものに季節変動がある
髪の毛には成長期・退行期・休止期という周期があり、この比率が季節によって変わります。成長期の毛包の割合は3月ごろに最も高く90%を超える一方、8月から9月にかけて最も低下します。
成長期が減るということは、退行期・休止期に移る毛が増えるということです。休止期に入った毛は数か月後に自然に抜けるため、秋口に抜ける本数がまとまって増えるわけです。
2. 夏の紫外線ダメージが遅れて出てくる
6月から8月にかけて浴びた紫外線は頭皮を硬くし、血流を悪くします。この影響が髪として表面に出るまでには2〜3か月のタイムラグがあります。
つまり今抜けている毛は、真夏の頭皮環境の結果です。顔には日焼け止めを塗っても頭頂部は無防備だった、という人は特に影響を受けやすくなります。
3. ホルモンの年間リズム
男性ホルモンであるテストステロンの血中濃度にも季節変動があり、年間のピークは10月ごろと報告されています。秋の抜け毛が男女問わず語られる一方で、男性でより実感されやすいのはこのためです。
いつからいつまで続く?時期の目安
体感と実際の抜け毛のピークには少しずれがあります。
| 時期 | 抜け毛の状態 | 体感 |
|---|---|---|
| 6〜8月 | 見た目は普通 | ダメージが蓄積している段階 |
| 8月下旬〜9月 | 増加が始まる | 急に増えたと気づく時期 |
| 9〜10月 | ピーク | 最も不安になりやすい |
| 11月 | 徐々に落ち着く | まだ多いが減り始める |
| 12月〜2月 | 平常に戻る | 気にならなくなる |
| 2〜5月 | 年間で最も少ない | 最も安定した状態 |
一般的に8月から11月の抜け毛は、2月から5月の最も少ない時期と比べて1.5倍から2倍とされます。多い人では3倍という報告もあります。通常は1〜2か月ほどで落ち着くため、9月に気づいたなら11月ごろには自然に収まっていく計算です。
今できる対策|やりすぎないことが大事
抜け毛が気になると、つい洗いすぎたり強くマッサージしたりしがちですが、これは逆効果になることがあります。
- シャンプーは1日1回まで 洗いすぎは頭皮の乾燥を招く
- 爪を立てず指の腹で洗う 物理的な刺激は頭皮を傷める
- ドライヤーでしっかり乾かす 濡れたまま寝ると雑菌が増えやすい
- 秋も日中の紫外線対策を続ける 9月の紫外線はまだ強い
- 睡眠のリズムを整える 髪は寝ている間につくられる
特に最後の睡眠は見落とされがちです。夏の生活リズムが崩れたままの人は、生活リズムの戻し方を参考に起床時間から整えてみてください。
抜けた毛を見れば分かること
季節性かどうかの手がかりは、抜けた毛そのものにあります。
| 状態 | 考えられること |
|---|---|
| 太くて長い毛が抜ける | 寿命を迎えた毛。季節性の可能性が高い |
| 細くて短い毛ばかり | 十分に育つ前に抜けている |
| 毛根が白く丸い | 自然に抜けた毛 |
| 毛根がない、細くとがっている | 途中で切れている、または異常の可能性 |
太くて長い毛が抜けているなら、それは役目を終えた毛です。逆に細く短い毛ばかりが増えている場合は、季節性以外の要因も考えられます。
1日に何本までなら正常なのか
抜け毛を数える人はまずいませんが、目安を知っておくと不安の大きさが変わります。日本人の髪はおよそ10万本あり、1日に自然に抜けるのは50〜100本程度とされています。
ここに季節変動が乗るため、秋のピーク時に1日150〜200本前後まで増えるのは想定の範囲です。ただし毎日数えるのは現実的ではないので、次のような比較のしかたをおすすめします。
- シャンプー後の排水口 毎回同じタイミングで見て、量の変化をざっくり把握する
- 枕元 朝起きたときの本数は日によるブレが小さい
- ブラッシング1回分 いつも使うブラシで比べると差が分かりやすい
大切なのは絶対数より「先月と比べてどうか」という変化の方向です。9月に増えて11月に減っていれば、季節性の典型的な動きだと考えられます。
食事とサプリメントについての考え方
髪はほぼタンパク質でできているため、極端な食事制限は抜け毛と相性が悪いのは確かです。夏に食欲が落ちてそうめん中心だった、という人は特に心当たりがあるかもしれません。
ただし特定の食品やサプリメントを摂れば抜け毛が止まる、という単純な話ではありません。まずは肉・魚・卵・大豆といったタンパク源を1日3食のどこかに入れる、という基本に戻るところからで十分です。
サプリメントを検討する場合も、持病がある人や薬を飲んでいる人は必ず医師や薬剤師に相談してください。
こんなときは皮膚科へ
秋の抜け毛の多くは一時的なものですが、次のような場合は自己判断せず医療機関に相談してください。
- 1日あたり数百本を超える抜け毛が長期間続いている
- 12月を過ぎてもまったく落ち着く気配がない
- 地肌が透けて見えるなど、見た目に明らかな変化がある
- 抜け毛と一緒にかゆみ、赤み、フケが強く出ている
- 円形に抜けている部分がある
この記事は一般的な情報の整理であり、診断や治療の指針ではありません。気になる症状があるときは皮膚科を受診してください。
【裏取り】専門機関はどう説明しているか
季節性の抜け毛と、治療の対象になる脱毛症は別ものです。ここを混ぜて考えると、必要のない対策にお金を使ったり、逆に受診が遅れたりします。判断の物差しになるのが、専門学会が公開している診療ガイドラインです。
日本皮膚科学会は一般公開ガイドラインとして、「円形脱毛症診療ガイドライン2024」と「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017年版)」を公開しています。後者は全文がPDFで読める形になっていて、治療法ごとに推奨度が示されています。
つまり、「効く・効かない」は個人の感想ではなく、学会が推奨度という形で整理しているということ。市販品を選ぶ前に、この物差しがあることだけでも知っておくと迷いが減ります。
もうひとつ、国民生活センターは薄毛治療をめぐる相談について注意喚起を出しています(2019年11月21日公表)。受診する前に公的機関の注意喚起情報を調べてから判断してほしい、という内容です。不安が大きいときほど、その場で契約しないことが効きます。
【見分け方】季節の抜け毛と、そうでない脱毛の違い
ここまで読んで「たぶん季節のせいね」と安心した人にこそ、いちばん確かめてほしいのがこの節です。秋の抜け毛は頭全体から少しずつ、均等に増えるのが特徴。逆にいうと、抜け方に偏りがあるときは季節とは別の話になります。見た目と進み方で、ざっくり切り分けられます。
| 抜け方の見た目 | 進み方 | 受診の目安 |
|---|---|---|
| 頭全体が薄く感じる/本数が増えた | 数週間から2か月ほどで落ち着くことが多い | 12月を過ぎても続くなら相談 |
| 円形・楕円形に地肌がはっきり出る | 数日から数週間で広がることがある | 気づいた時点で皮膚科へ |
| 生え際や頭頂部が左右対称にゆっくり後退 | 年単位で進む | 季節と無関係。早めに相談 |
とくに2段目は要注意です。円形に抜けるタイプは自然に戻ることもある一方で、広がっていくこともあり、日本皮膚科学会が円形脱毛症診療ガイドライン2024として診療の考え方をまとめています。専門家向けの資料ですが、どういう検査や治療が選択肢になるのかを先に知っておくと、受診したときの話が早く進みます。
いちばん避けたいのは、季節のせいだと思い込んで様子を見ているあいだに、別の原因が進んでしまうこと。市販の育毛剤を試し続けるより、まず診断をつけたほうが結局は近道になります。ここで挙げた3つのどれに近いか分からない、という状態そのものが受診の理由になります。
よくある質問
Q. 秋の抜け毛はいつまで続きますか?
A. 一般的には8月下旬から増え始め、9〜10月にピークを迎え、通常は1〜2か月で落ち着いていきます。12月を過ぎてもまったく減る気配がない場合は、季節性とは限らないので皮膚科の受診を検討してください。
Q. 1日に何本抜けたら異常ですか?
A. 日本人の髪はおよそ10万本あり、1日に自然に抜けるのは50〜100本程度とされています。秋のピーク時に150〜200本前後まで増えるのは想定の範囲です。ただし本数を毎日数えるより、先月と比べて増えているか減っているかという変化の方向を見るほうが役に立ちます。
Q. 市販の育毛剤は使ったほうがいいですか?
A. 効果を断定できる情報をこの記事は持っていません。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」が治療法ごとに推奨度を示しているので、まずそちらを確認するのが確実です。強い効果をうたう広告表現については、国民生活センターも注意を呼びかけています。
まとめ|3か月前の夏を思い出してみる
- 秋の抜け毛は毛周期の季節変動・夏の紫外線ダメージ・ホルモンのリズムが重なって起きる
- ピークは9月から10月。通常は1〜2か月で落ち着く
- 少ない時期の1.5倍から2倍までは正常の範囲とされる
- 洗いすぎ・こすりすぎはむしろ逆効果
- 12月を過ぎても続く場合や地肌の変化があれば皮膚科へ
夏の疲れが表に出るのは髪だけではありません。同じ時期に増える不調は「秋バテ」の原因と対策に、8月下旬から始まる秋の花粉症についても別記事でまとめています。

とりあえず、洗いすぎないようにするよ。

それでいいと思う。ただし12月になっても落ち着かない、地肌が透けてきた、円形に抜けている——このどれかに当てはまるなら、迷わず皮膚科へ。季節のせいにして放置しないでね。